「第2回 表現の不思議」 いすで遊ぶ
平成28年10月22日(土)13:30-15:00
「子どもの体験活動の場Coみどり」で
小学生を対象とした身体表現のワークショップ(2回目)を行いました。
ファシリテーターは いわさわたかこ です。
このワークショップは、
1. 小学生を対象とした身体表現の可能性および創造性向上の探求
2. モノ(いす)を介した時の身体の多様性を感じ取る
3. 遊びの中から生まれる表現を楽しむ
4. 身体を媒介として他者とのコミュニケーションをはかる
を目的としています。
参加してくださった6名の皆さん、保護者のみなさま、
Coみどりの関係者のみなさま、
ありがとうございました。
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1回目は「名前」と「まる」をテーマにワークショップを展開しましたが、
今回は「いす」。
様々な方法でいすと遊びまくった90分間でした。
1. いろいろな、いすとりゲーム
ウォーミングアップをかねて、「いすとりゲーム」からスタートです。
いすとりゲームというのは、
① 音楽が鳴っている間はいすの間を移動する
② 音楽がとまっている間、いすに座る
③ いすのかずがどんどん減り、
④ 最後までいすに座ることができた人が「勝ち」
というのが、普通のルールです。
しかし、ここでは普通と異なるいろいろなルールを試して、
ダイナミックな動きと発想力を養います。
①〜③までの基本ルールは同じですが、
・いすの周りを移動するときの動きに変化をつける
・いすの数が減っても、協力して参加者全員がなんとかしていすに座るよう工夫する。
という新しいルールを採用しています。
すこしずついすを減らして、最後にはいすが一つに。
みんなでいすに座るにはどうすればよいか、
アイデアを出し合って面白い形が生まれました。
もうひとつ、試したのは
一人がいすに座り、その人に身体の一部を接触させてつながり、
どんどんつながっていって、いすからどこまで身体をのばせるか。
いすとりゲームという、だれでも知っているゲーム。
ルールを少し工夫するだけで、面白い動きや形を発見することができます。
「協力」という要素が、遊びの中で自然と参加者間のコミュニケーションを
生み出してくれるのも、アイスブレークとして有効な手段になっています。
2. いすで遊ぼう
人が一人で動くのには限界があります。
しかし、モノを介在させることで一人では不可能な動きが簡単にできることがあります。
今回、いすをワークショップのアイテムに導入したのは、
そんな理由からです。
20パターンの座り方
「ふだん、どんな風にいすに座りますか」
と、聞いてみました。
みんなとても礼儀正しく座っています。
しかし、私たちはいつも背筋を伸ばしてきちんと座っている訳ではありません。
もっとリラックスしたムードで座ることもあり、
実は普段から様々な座り方をしています。
ワークショップでは、普段以上にダイナミックで、
「座る」という概念を覆すような創造的な座り方、をめざして
ここから、20パターンの座り方にチャレンジしてもらいました。
ファシリテーターが1、2、3…と数えるたびに
形をあけて座ります。
頭で考えている時間はありません。
「身体が思いつく」ままに、自由なポーズが生まれます。
こんな動き方って、いすがなかったら簡単にはでてこないものです。
次は、いすの「置き方」と「場所」を変えてみます。
すると…
「いすに座る」という日常的な行為。
すこし角度をかえてみると
創造性に満ちた表現を楽しむことができます。
3. ミラーリング(真似をする)
いすに座りながら目の前の相手の動きをまねる。
ミラーリング(相手が右に動くと、自分は左に動く)のテクニックをつかって
相手の動きを後から繰り返すのではなく
できるだけ同時に動けるよう、神経を集中させる。
ただし、個人差があるので、全く同じ動きでなくてもよいが、
他者とシンクロして動こうとする。
こんなルールで真似をしてみました。
一人ずつリーダーになっていすに座った状態から即興で動きはじめます。
でも、一人が勝手に動くのではなく、目の前の人々を動かしていく。
そんな感じです。
真似をする方も真剣にリーダーの一挙手一投足を見ていますので、
先の動きを読み取ろうとする(集中)力が高まります。
他の人の影響を受けたのか、
リーダーが変わるたびに、自然と発展的な新しい動きが出てきました。
4. いすの道
最後は、いすを並べてつくる「いすの道」。
参加者を「歩く」と「運ぶ」の2チームに分けます。
「歩く」:
一列にならんでいすの上を歩く。
先頭の人は移動する時にただ歩くだけではなく、変化をつけて動く。
後ろに続く人は、先頭の人の真似(ユニゾン)をしながらいすの上を移動する。
「運ぶ」:
いすを並べ、道をつくる。
歩くチームが通り過ぎたら、いすの最後尾から順番にいすを運んであたらし井道を作る。
道は必ずしも直線である必要はなく、曲がっていたり、円になったり、とびとびになっていてもよい。
歩くチームのスピードが早く、運ぶチームは協力し合って
いすをいろんな方向、形に運んでいきます。
本当に、シンプルなワークでしたが、
参加者全員が興奮の渦に巻き込まれて、一体になる瞬間を味わいました。
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いすだけで90分。
けれど、あっという間だった、と感じてしまうほど
集中した時間になりました。
ワークショップに没頭する子どもたちの身体から
創造のエネルギーが満ちてきて、
最後は大きな一つの塊になったようでした。
(文 たかこ)